『47原則』ぼくの好きな作家

『47原則』ぼくの好きな作家

この作家をひとりに特定しようとすると大変なのですが、少し絞りますと:好きな現代作家で人生やビジネスにインパクトを与えた、ビジョナリー。そしてもちろん自分の考え方を変えさせてくれた本。この2点に絞りたいと思います。

その方の名前はマルコム・グラッドウェルです。(Malcolm Gladwell)
数々の全世界ベストセラーを叩き出してきたグラッドウェル氏ですが、その代表作の中でも特にDavid and Goliath(そうです、聖書のダビデのゴリアテからタイトルを引用してきています)という本をバイブルのように自分の人生のあらゆる分野や分岐で活用させていただいております。ちなみに、余談で若干逸れますが最近舞い込んできた嬉しいニュースをシェアリングしますと:今回のメインな目的である47原則:世界で仕事ができる人はどこで差をつけているのか(ダイヤモンド社2016年七夕出版)に纏わる紹介で英語版もなんとある読者の方から「出張の時のバイブル(Bible)」だとホテルの部屋からThe McKinsey Edgeを写真を知り合いあてに送ってくださいました。ホントに感激でした。失礼しました。話を戻しますと、なぜDavid and Goliathがぼくのバイブルかというとそれは問題に対しての視点を180度、ないし360度変えてくれる可能性を秘めているからです。

この本を既読されている方ならすでにお分かりだと思いますが、一言でいうとグラッドウェル氏はなぜダビデが劣勢の立場でゴリアテに挑んだのではなく、逆に優勢な立場であった、と述べていることです。この物語を齧ったことがない人でもダビデがひ弱な小さな少年でゴリアテが巨人であったことは耳にしたことはあるでしょう。自分が弱い立場、劣勢に置かれていると思っている人ほど、この弱さを強さに変える秘訣を知っておくべきです。このセオリーは実は何も新しくはないです。実はビジネス界では、「柔道セオリー(Judo Theory)」と呼ばれております。漫画の世界でもYawaraちゃんが一本背負いで巨漢の外国人を投げ飛ばせるのには彼女なりの強みが(機敏さ、洞察力、など)があったからです。意味は既存の大手企業の足元を狙って、見えない形で攻めに転ずることです。グーグルだって当初はマイクロソフトに脅威とはみなされていない状況で急成長し、瞬く間に買収できない地位まで登りつめました。最近、リンクドイン(LinkdedIn)というシリコンバレー初のプロフェッショナルネットワークSNSサービスを展開している会社もUS$23.2billion(2.4兆円)という巨額で買収されました。こういう背景には過去の教訓と未来の脅威を見越しているのでしょう。ゴリアテはその巨体、強さゆえ、油断をした、だから負けた。ではなく、そもそもダビデの飛び道具のほうが勝っていた。だれも戦場の一騎打ちが接近戦じゃなくてはいけないとは言ってないです。そこを逆手にとったダビデの圧勝だったのです。だから始めから、ダビデは強かった。

このように、自分の立場を強める方法はいくらでもあります。
偶然のように思える戦法が実は必然であったりもするわけです。例えば、グラッドウェル氏が挙げたもう一つの例が今でも鮮明に脳裏によぎっています。それは、インドから米国に働きに来たお父さんと、その十代の娘さんのお話しです。このお父さんはソフトウエア会社に勤める社員でしたが、ひょんなことからバスケットボールを好きな娘さんのために、自分をその学校のチームのコーチに任命しました(彼がなぜなれたかは言及されてないです)。バスケットボールの「バ」の字も知らなかったお父さんはなんとその一年で平凡だったチームを全米2位の高地位までにのし上げてしまうのです。いったいなぜそのインド人でコンピュータープログラマーの父は、そんな偉業を成し遂げてしまえたのでしょうか。

答えは至極シンプルでした。バスケットボールのゲームを理解していない方がたどりつける答えです。バスケットボールとは実はフルコートといってコートを全面使って勝負するのですが、運動量の多いスポーツなので、自然と勝負をハーフコートにしてしまう人たちが多いのです。ポイントガードというドリブルがチームで一番上手な人がボールをコートの反対側から運んできます。そしてディフェンスする側はゆったりとその相手がくるのをコートの片半面で待ち受けます。接戦になる前は、このスポーツ特有の「礼儀」のように、自然にこのようにゲーム運びが行われます。けれども、このスーパーインド人はこのチャンスを見逃しませんでした。きついキツツキのような英語のアクセントと鋭い千里眼でチームに全面勝負をけしかけたのです。

彼は自問自答した。WHY? 何故?という質問を。
こんなに不効率な戦い方はないじゃないか、と思った彼は、チームの女の子に徹底的に相手をコートの前半面でつぶす戦法を組み込みました。それは体力との大勝負なので、底の基礎代謝を徹底的に上げました。編み出したとはいっても、実はこの手法は「プレスディフェンス」と呼ばれていて、ごく普通に使われてきた技でした。ただ、誰も、それはゲームのすべてにおいてやろうと思いませんでした。これがこのチームとコーチがなし遂げて発想の勝利でした。

ぼくがこのお話をすると、沢山の人が喜ばれます。
数々のグラッドウェル氏が伝えるエピソードが好きな理由は自分も常に大きく物事をとらえるように考えらえるからです。エキスパートだからえらい、凄い、のではなく、エキスパートが見落とすものはなにか、という発想になるのです。固定概念というのは、ときに、恐ろしいものへと変身します。 

成功するベンチャーなどもこの機転の利かし方でゴリアテ級の大手に挑んでいるのでしょう。

さて、この概念を使って、ぼくに纏わる面白いエピソードを共有したいのですが、それはまた次の機会にしますね。

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シュウ ハットリ

シュウ ハットリ

経営コンサルタント。カナダ・マギル大学商学部卒業、政府奨学生として国立台湾大学卒業(経営学修士)。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て2015年独立。日中を市場とする求人ポータルサイト運営など、ベンチャー設立経験も複数有する。日本語と英語を母国語とし、中国語も堪能。初の著書として、米国にて2015年11月に『The McKinsey Edge』(マグロウヒル社)を刊行、2016年7月7日に本人完訳による邦訳版も刊行。 Shu Hattori is an author of a global-selling book called The McKinsey Edge (McGraw-Hill Publishing), which helps give practical tips for successful career to leadership. The success principles outlined in the book are based on his own personal experiences while at McKinsey and insights he acquired from other leaders. It has been translated into Japanese and Spanish.
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